夢の見方と味方を忘れたか

　この世界に誘拐され。
　日沈む国って監獄に繋がれ。
　夢の見方と味方を忘れてしまった？
　大丈夫です、この立派な悪夢を信じられるのなら。
　今は昔にある夢も何れ正夢。
　ほら聞こえます、「ハーイ、ジョージー！」と。





テツガクちゃん
　どったのヒーロー？
　ああ、そのしかめ面はなんですか？

　え、なんですって？
　夢の見方と味方を忘れてしまった、ですって？

　重症な悪夢。
　監獄独房の中ってわけですね。
　まさにラプンツェル。

　自分がつくったわけでもない。
　宇宙って暗闇空白に浮かぶ。
　青く醜い悪霊、地球という名のデス・スター。
　オーバールック・ホテルの中。

　鯨に食われた翁。


肯定
　そう、昔の僕には全く見えなかった。
　夢ってITが全く見れなかった。

　突然、未知が真っ白になった。
　ちょっと前まで次がどうなるのか。
　どこへ行くのか、ハッキリとわかっていたのに。

　ある日、真っ白な白紙が広がり迫った。
　恐ろしくて怖かった。
　言い訳のできない恐怖だった。

　でも、今なら言える。
　ちゃんと気づいていた。
　ちゃんとわかっていた。

　自分がこの世界に誘拐されたのも。
　誰かの自由って鎖に縛られている。

　そう思える全てが、ただのITだって。
　確かなペニーワイズだと信じていたけど。
　ただのピエロだって。

　この日沈む国から遠い東に浮かぶ。
　日出ずる世界から。

　シャイニングが伝染した。
　ホラーの帝王さんのゼロインチパンチ。

　そしたら――。


テツガクちゃん
　ほら、虎がいる。
　そして、ほら、兎もいる。

　この私こそ、世界三大ウサギの一羽。
　竹取の国の愚かなFRウサギでワガママ娘。
　慈悲深く無慈悲な冷酷冷徹のワガママ・クイーン。
　略して、慈無酷徹我娘。

　兎穴に入らずんば不思議の国知らず。
　ペンは剣よりも強し、剣はペンよりも難し。

　ですから、争い知らずの不戦神話。
　そういう夢だって描ける。
　誰にだって。

　ですが――。


肯定
　この欺瞞の世界では。
　その事実すら歪んでしまう。

　人の欺瞞はかくも邪悪なり。
　されど、人の自信はかくも神聖なり。

　信じる事こそ奇跡。
　ただ、信じればいい。
　だからこそ、信じない事も信じられる。

　だけど、そろそろ目を覚まそう。
　目の前のITが見えないっていうのか？

　ITも夢だった。
　今も記憶になる夢。
　忘れてないのは知ってるよ、アンダーソン君。


テツガクちゃん
　スプーンなんてないからお見通しです。

　わかりますよ。
　誰かが求める夢を信じられないのは。
　当たり前に然り当然です。

　偉大なスポーツ選手になるとか。
　世界を股にかける起業家とか。
　宇宙に住む発明家とか。

　夢ってそういうものではありません。
　夢はフォースの如く身近で永遠。
　誰もが信じていて、誰だって操れる。

　そういう頼りになる。
　今のようなものですから。
　時々、見失ったり、敵に思えたりするわけです。

　ちゃんと見えていますし。
　味方もいるものです。

　このグリーンマイルから。
　故郷へ続く未知。
　カントリーロードへ抜け出せる。
　そういう夢へ目覚める朝もあります。

　あなたが信じているように。
　大切な人との約束を果たす。
　そういう奇跡の季節が。

　ですから、汝、自身を知れ、アンダーソン君。
　目を覚ます時間です、グリーンさん。

　今、君が吸った、と信じているIT。
　誰から教わりました？
　その欺瞞を。

　本当は――こんな世界に。
　あなたはいないのかもしれません。

　騎士道物語、果てしない物語に夢中で。
　この欺瞞のファンタージェンが自分の故郷だなんて――。
　信じていないのはわかっています。

　そうです、信じるべきです。
　昔、誰かが教え説いた欺瞞ではなく。
　今、自分が素直に正直に信じたいITを勇敢に。

　それが夢の見方であり。
　夢に対する味方です。

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それでは、また次の機会にお会いしましょう。